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コラム相良先生第3回

第3回 モンテッソーリ教育と脳科学

 夏休みにしかできないことをしっかりやり抜いて、清々しい気持ちで充実の秋を迎えていらっしゃるでしょうか。私は夏じゅう講演や講義で東奔西走しクタクタに疲れ果てました。でも行く先々で、聴いて下さる方々の目が輝く時、その反応から、今の旬のテーマを感じることができました。今夏「ああ、みんな本気だなあ」と最も実感したテーマは「平和」への願望でした。モンテッソーリは平和について教えたのではなく、平和を生きる人を育てたのでした。私たちが平和のために具体的に今できることは、幼児期の子どもに正しく関わることによって「平和を生きる人」を育てることでしょう。
 もう一つ、多くの人が強い関心を示されたのが「脳科学」のテーマでした。『幼児教育と脳』(文春新書)の著者澤口俊之(北海道大学教授)先生は、今まさに旬の人で日本の様々の幼児教育の研修会で話したり雑誌に書いている方です。澤口氏によれば「頭が良い」ということは「前頭連合野の働きが良い」ことであり、特に、前頭連合野の中心的な機能にある「ワーキングメモリ」の働きが良ければ知的能力が高いことになるというのです。しかし、ワーキングメモリや前頭連合野の働きを高め、頭を良くする方法が科学的に立証されているものは未だごく僅かだそうです。澤口氏は、「脳研究者、特に前頭連合野研究の専門家として、ぜひともそういった方法を世界ではじめて開発し、幼稚園や学校、あるいは社会に広く普及させたいと思っている」とある雑誌に書いています。
 この澤口氏と一昨年の夏、日本モンテッソーリ協会全国大会のシンポジウムで同席したときに、私はモンテッソーリ教育を受けた子どもたちの特徴を10項目挙げて、「こんな特徴は前頭連合野の働きと言えないでしょうか?」と質問しました。すると「まさに、そういうことです」お答え下さったのです。そのときに挙げた10項目とは、『幼児期には2度チャンスがある』の249頁にある次のようなことです。「①順序立てて、ものごとを考えることができる。②何をするにも、計画を立て、順序を踏んで着実に実行する。③段取りがよい。④先を見通すことができる。⑤一から出発する。⑥省略しない(但し,急ぐときに、どこを省略すればよいか、ポイントがわかる)。⑦状況の読み取りが早く、機転がきく。⑧わずかな差異に気づき、道徳性が高い。⑨一人でもたじろがない。⑩礼儀正しい。本質に対して忠実。」モンテッソーリ教育を受けた子どもたちにそのような共通の特徴が目立つということは、モンテッソーリ教育の中に前頭連合野を育てる要素があると仮定しても良いのではないか!という私の問いかけで、そのシンポジウムは終わったのでした。その閉会直後に、澤口氏は私に「モンテッソーリ教育でそのような特質が本当に育つのなら、僕そんな教育方法を勉強してみたいですよ」とおっしゃいました。その時の先生の真面目な顔つきが強く印象に残っています。前頭連合野の中心的な機能である「ワーキングメモリ」とは、行動や判断に必要な情報を保持しつつ組み合わせ、状況に応じて適切な「答え」を出す働きだそうです。モンテッソーリ教育を受けた子どもの具体的な行動のなかに、まさに「ワーキングメモリ」を良く働かせていると思う場面が沢山あるので、次回からは具体的にそれを紹介いたしましょう。

2003年9月25日  相良敦子

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